国難

第二波がやばい。毎日毎日、テレビや新聞では、病院の前で診察も受けられずに亡くなっていく人たち、酸素が尽きて息途絶えた人たちの話で持ちきり。火災が起きたり酸素漏れで多数の死者を出した病院も。

第一波の感染ピーク時でも1日あたりの感染者数が最大10万人弱だったのに、第二波は一か月程度で35万人まで到達してしまった。

インド在住者・在日インド人の中で、自分の周りでは誰もかかってないと言う人は多分いないと思う。インド政府関係者のツイッターを見てると、毎日のように誰かしらの訃報ツイートをしていて、本当に国難なんだなあと思う。SNSを見ていても、訃報の投稿や「酸素・薬 急募」みたいな投稿で溢れている。

いかにインドの感染拡大がやばいかがわかる図。

第二波真っ只中の大学院生活

今学期私のコースを担当している教授陣も、5人中2人陽性(この2人の授業だけがおもしろかったのに…)、2人体調不良(元々サボりがちな先生なので真偽の程は不明)ということで、まともな授業がでしていない。一番つまらない授業をしていた先生だけが元気。いや健康一番でなによりなんですけどね。他学部では教授や学生の訃報が次々と入ってきている。

陽性だった教授が1人復活して、「みんな元気かーい?!」と呼びかけられ、みんなで「シーン」となってしまった。多分みんな家で誰かしら感染しているのだろう。私も例外ではなく、ホームステイ先のお父さんが感染してしまい、私もかかったと思ってたので、何も答えることができず。先生は何かを察したのか、「絶対に外に出るな!トゥルシーを沸かして飲め!トマトを沢山食べろ!僕はコロナに勝った!みんなも勝とう!!!」と全力で呼びかけられた笑

週末ロックダウン中に結婚式をする人たち

ホームステイ先のが陽性

ホームステイ先家族は全員かなり気をつけているものの、養父が陽性に。養父が陽性になってから、私にもコロナっぽい症状が出始めた。咳が出たり、ものすごい怠さを感じたり、頭痛がしたり、嗅覚が無くなったり、味覚がおかしくなったり。

嗅覚がなくなるのって意識して確認しないと気付かないなと思った。お気に入りの石鹸を意識して嗅いだら全く匂いがしないことに気付き、香水やスプレー類を嗅いでもダメ、オールドモンクの瓶に鼻を突っ込んでも何も感じない!ということで、これは移っちゃったなーと思ったのでした。本当にこうなるのか〜と若干関心してしまった。数日後、かすかに嗅覚が戻り始めた時は本当に嬉しかった!!

味覚もおかしいような気がしているんだけど、何せクセのある食べ物しか出ないので確かめようがない。チョコレート食べたら、周りについているナッツの味しかしなかったので、多分甘味だけ鈍くなっているような気がしている。

甘味感じないかも〜と言ったら、ものすごい量の砂糖がかかったヨーグルトが出るようになった…。

PCRテスト

今は検査能力も落ちていて、養父陽性発覚後、1週間経ってからようやく検査→4日後に結果が出た。結果はなんと全員陰性。うそだろ。。。!!

検査テキトーにやってる的な噂をよく耳にしたけれど、噂が確信に変わった瞬間だった。検査に来た兄ちゃんの嫌そうな顔が脳裏に焼き付いている。

日印カルチャーショック

このコロナ騒ぎの2週間くらいで、家族の考え方や行動様式にカルチャーショックを覚えることが多かったので、記録しておきたい。もちろん、一家庭の考えに過ぎず、違う考えのインド人は沢山いるだろうし、印象に残ったことを記憶に留めておくのが目的なので悪しからず。色々書いてるけど、ホストファミリーはかなり良識のあるいい人たちです。

・養父の陽性が発覚した途端、感染拡大真っ只中の都市から、娘と息子が即駆けつけてきた!誰も面倒を見る人がいないならともかく、日本で今東京から地方に駆けつけるなんてありえないよなー。こっちの家族愛には目を見張るものがある。

・感染した=接触した人に迷惑をかけたという考えは一切ない。養父の陽性によって、私はたまたま外せない予定をキャンセルせざるを得なかったのだけど、申し訳ない的な反応は一切なし。これに関しては、インドの考え方が正しいと思う。遊び歩いてる人とかは別だが。

・陽性判明した途端、親戚からめっちゃ電話がかかってくる。忙しくてそれどころじゃないのに電話が止まらない。今忙しいだろうからそっとしておこう的な発想がまるでない。少し前に日本在住の親戚が陽性になった時も、毎朝毎晩養母が鬼電していた…日本人的には迷惑だけど、こっちだと違うのだろうなー。日本で陽性になったのは姪っ子の旦那というビミョーな間柄だったけど、病状を聞いては号泣したりしていた。どちらが良い悪いとかではなくて、家族親族の距離感は本当に違うなあと思う。

・メイドの命は軽い。二つ前の記事でも書いたけど、メイドが発熱した時は即出勤停止になったが、養父が陽性になった時はしばらく普通にメイドに仕事をさせていた。そのあと、メイドが感染源になり得るかもしれないからというトンデモな理由で、メイドの出勤は停止になった。今まさにメイドを再開するか家族会議中だが、私達が陰性だったから再開すべきという父 vs メイド達に移されるから呼んだらダメという娘が対立している…。一つの話をめぐって対立してるのに論点がズレているので、聞いていて突っ込みたくなる。メイドもメイドで、こんな大変な時に薄給で来てくれるのに危険視されるっていうのがすごく不憫。

・メイド(特に年配者)の知識レベルが恐ろしく低い。養父陽性が発覚した日もソーシャルディスタンスを取ろうとしていなかったし、コロナ陽性になったと言ってもしばらく信じていなかった。そもそも石鹸で手を洗う姿を見たことがない(石鹸のパッケージとか「これなんて書いてあるか読んで」とよく頼まれるので、どういうものかもよく分かってないのだと思う。大体石鹸類ってパッケージ英語だしね。。)。糖尿病持ちのおばあちゃんメイドは、養父陽性後も毎朝玄関で待っていたそう。。

・一概には言えないけれども、マルチタスクが降ってきた時のキャパが小さい。普段から、家事を全てメイドに任せている+仕事でも日本みたいに働き詰めになることはまずないので、メイドの出勤を止めて家事をこなし、更に隔離者に食事を運ぶ作業が発生するとキャパオーバー。日本みたいに激務+家事に忙殺される生活もどうかと思うけど、こっちの人キャパオーバーするの早いな〜と思うことはよくある。

PCRテストの結果を100%信じている。

・「嗅覚と味覚のどっちかだけが消えた場合はコロナじゃなくて風邪」らしい。日本だとちょっとググれば厚生省のホームページで否定されているようなことがまかり通っている。

・濃厚接触者にあたる養母と、陽性者と接点のない娘・息子がどう暮らすかについて、家族内でマスクすれば移らないと医者から言われた。いや食器一緒だし飯一緒に食ってるし無理があるだろ。。。

・オンライン診療はすごく便利。医者にいつでも電話できて、薬を指示してくれる。薬局も多い。このコロナ禍で病院に行かなくていいのは本当にありがたい。

・ワクチンを絶対接種するように使用人達に勧めまくる。副作用の可能性を考慮するだとか、そもそも接種するかどうかは本人の判断を尊重すべきといった考えはない。5月から18歳以上が接種可能になるわけだが、私も今めっちゃ打て打て言われてる。。。

2週間ずっとベジばっかりで、一回だけご飯をパスしてケンタッキーをオーダーして食べていたらノンベジの回数が増えた!勝利!

コロナって日本人同士でも感染対策面なんかで意識の違いが出たりしてストレス溜まるものだけど、この2週間はかなり精神的にしんどかった。こっちの人がどういう考えなのかわからないし、何かの時に病院で診てもらえる可能性はほぼ低いし、酸素はないし。

養父が陽性になった時に、娘に「あんたは自室にいなさい」と言われたのだけど、それは、私が陽性者という可能性が高いから隔離をしてほしいのか、私自身が自分の身を守るために隔離すべきだという考えの元で隔離を依頼しているのか、本心が見えなくて辛かった。この家はよくも悪くも外国人慣れしている家庭なので、たまに日本人的に取り繕われてしまう。それによって却って何考えてるのか分からなくて苦労した。母と娘の感染対策の考えも雲泥の差があって、どっちに従えば良いのか迷ったり、一人で勝手に気疲れしていた。

後々落ち着いて考えると私の言葉の伝え方にも問題があったのだけど、はっきり考えていることを言わないと分かってもらえないんだなーという当たり前のことを痛感した。日本人的な「察する文化、取り繕う文化」は、インドでは周りに察することを求めるめんどくさい子になりかねないので、要注意だなと反省。。。徹底的に染み付いた日本人的な価値観が重荷になって、1人で空回りしていた2週間でした。

インドの薬、個性強すぎ

アラサーの娘と息子はしばらく我が家にいるのだろうな。子どもたちが来てくれる前は、養母がキャパオーバーしてわんわん泣き出してメイドと私で何もできずオロオロしたりしてたので、来てくれてありがたかった。

インドで気疲れする度に、日印夫婦ってまじで偉大だなって思う。。。日印って、神様だのFOIPだの共通点ばっか強調されるけど、違うところはほんと違う。私の周りでうまくいってる日印カップル・夫婦は、みんな根から優しい人が多い気がする。違いを受け入れる器が大きいんだろうな。。。

父ちゃんはまだぐったりしているけど、このまま無事に回復しますように。そして早く第二波終われ!!