映画『Amar Akbar Anthony』

 GWはイルファーン・カーンとリシカプールが連日で亡くなるという衝撃の連続でしたね。このニュースを受けて、あまり見ていなかった古き良きボリウッド映画を観ていました。今日は若きリシカプールが出演していた『Amar Akbar Anthony(1977)』について。

 正直なところ、リシカプールは若い時と体形が変わりすぎていて、Student of the yearは記憶に新しかったのですが、まさかBobbyの主役の人だとは思いませんでした。。。(超失礼)

***あらすじ(ざっくり&ネタバレ)***

 ヒンドゥー教徒の三兄弟は、幼少期に離れ離れになり、偶然通りかかったヒンドゥー教徒イスラム教徒、キリスト教徒の元に引き取られ、それぞれAmar(Vinod Khanna)、Akbar(Rishi Kapoor)、Anthony(Amitabh Bacchan)と名付けられる。

 成人となった三人は、事故に遭った実母の輸血に偶然協力することとなり病院で顔を合わせるが、そこではお互いに兄弟であると気付かない。Amarは警官、Akbarはカウワーリーの歌手、Anthonyは酒屋とそれぞれの道を歩む。しかし、三兄弟の実父や実父と長年の対立関係にある悪の組織が絡む様々な事件により、徐々に三人が実の兄弟であったと気付くことになる。

 その後、Anthonyの婚約者であるJennieが悪者ボディーガードとの結婚を強制されそうになるのを三兄弟が協力して阻止する。三兄弟はそれぞれ結婚式のバンド、ドレスの仕立て屋、新婦になりきって結婚会場に乗り込み、女性陣を逃し悪者たちをやっつける。最後はそれぞれが恋人と結ばれ、久しぶりの家族集結となる。

 名前からわかるように、バラバラの宗教の名前が3つ並べられたタイトルであるため、宗教問わず仲良くやろうぜ!的な映画かと思いきや、軽快な家族ドラマ+コメディーの映画だった。一見メッセージ性などは何らない普通の娯楽映画でありつつも、「हिंदू, मुस्लिम, सिख, ईसाई, सभी तो हैं भाई भाई। 」なんてセリフがさりげなく挿入されていた。三兄弟も、実は別の宗教の家に生まれたという事実を知ってもショックを受けたりせず、普通の兄弟として受け入れ、再会を喜ぶ。彼らの名前や服装以外では、違う宗教であるということを全く感じさせないのが逆に良かった。

 バラバラになった3人がどのようにお互いが実の兄弟だと気付くのかが気になって夢中で見ていたが、一番の見どころは、ようやく一緒になった兄弟が協力し合う最後の30分間。3人の名前が歌詞になった有名な曲に乗せてパフォーマンス重視の大げさなアクションと効果音が繰り広げられる。見てて楽しい。「Amar~Akbar~Anthony~~♪」はしばらく頭から離れなかった~

 もう一つ見どころを挙げるとすれば、Anthony(Amitabh Bacchan)のムンバイ方言でしょうか。Apun (=मैं)、Kayko(=क्यों)、Icch(=ही)など。他にもあったかもしれない。他の映画でも地味に出てくるので、色んな表現を抑えておきたいところ。

 劇中に、リシカプール演じるAkbarが病院に運ばれ、アミターブバッチャン演じるAnthonyが病室に来るシーンがあり、リシカプールの晩年にはアミターブバッチャンもこのシーンを思い出したのかなあなんて思いながら見ていた。実際には、アミターブバッチャンは一度もお見舞いに行かなかったらしいですね。さぞ辛かったのでしょう。

 Amar Akbar Anthonyは、同世代の知人(インド人)が三兄弟のことを例えて引用していたことがありタイトルだけは聞いたことがあった。しかし70年代の映画だったとは。自分たちが生まれていない時代の映画のタイトルやセリフでも、会話の中でさりげなく出てきたりするので、ヒンディー語って怖いと改めて思ったのでした。