映画『パンジャブ・ハイ』(原題:Udta Punjab)

 首都圏に緊急事態宣言が発令されてからもう一か月超。出発できるかも怪しいインド留学用に証明写真を撮りに行ったのですが、一瞬口角を上げただけで頬がピクピクして、新卒で入った会社を辞めてニート生活をしていた時のことを思い出しました。使わない筋肉はどんどん衰えていくのですね。。。

 先日、ネットフリックスで『パンジャブ・ハイ』(原題:Udta Punjab)を観たので備忘録として。

***あらすじ(完全ネタバレ)***  

 舞台はドラッグが蔓延しているインド・パンジャーブ州パキスタンからインドの密売仲間に投げ込まれたヘロインの塊を農家で働く娘(アーリア・バット)が偶然発見するシーンから始まる。以前クリケット全国選手を目指していたその娘は家庭の事情で農家での労働を余儀なくされ、発見したヘロインを売り生活を立て直そうと考えるが、密売人の一味につかまりドラッグ漬けにされてしまう。一方、ドラッグ中毒のラッパー歌手(シャヒード・カプール)は、一度は刑務所から出所するが薬を止められずに仲間から見放される。逃亡期間中にドラッグの一味から逃れる娘と出会い、恋に落ちる。  ドラッグ密売関係者と繋がりのあるパンジャーブ警察の中で唯一、一人の若手警部補(ディルジート・ドーサンジュ)は、弟がドラッグ中毒により救急搬送されたことをきっかけに、地元女性医師(カリーナ・カプール)と共にドラッグ密売の実態調査に乗り出す。ドラッグ密売の根源となる政治家をつきとめ選挙委員会に報告する手前のところで、ドラッグ中毒の弟が女性医師を殺害してしまう。  最後には、同若手警部補がドラッグ密売人やグルの警察幹部を殺害し、女性医師と共に調査したドラッグ密売の実態が社会に明るみになるとともに、逃げきったラッパー歌手とかつて農家で働いていた娘は結ばれてゴアのビーチへ出る。

 主人公のAlia Bhattは"Gully Boy", "2 States", "Humpty Sharma ki Dulhania", "Dear Life"等のヒット映画に出ずっぱりの女優だが、今回の破滅したドラッグ漬けの農民ぶりは衝撃だった。これまでは、エリート一家に生まれた今時の気が強い自立した女の子みたいな役ばかりでどの映画もあまり変わり映えがしなかったので…。関係ないけどリシカプールの葬式でスマホを向けていたことがインドでも少し話題になっていますね。やはり今どきの子なのだと再認識。

 あとラッパー歌手に至っては途中までShahid Kapoorだと気付かなかった…昔ファンだったのに気づけず、勝手に申し訳ない気持ちになってしまいました。Jab We Metの時のさわやかな彼はどこに行ってしまったのでしょう。少し寂しい気もします。。。

BBC記事】Punjab's drug menace: 'I wanted my son to die'

 この映画を観るまでパンジャーブで麻薬が蔓延っていることを知らなかった。2018年のこの記事によれば、薬物の奥はアフガニスタンからパキスタンを経由して流入しているのだそう。

【WSJ記事】How the Movie Udta Punjab Sparked a Debate About Drug Use in India

 当初はパンジャーブ州が麻薬漬けだという過度の先入観を与えてしまうとして上映許可が下りず、かなりのシーンをカットしての公開になったのだとか。

 もっとも、映画公開時(2016年)のパンジャーブ州はBJP政権(翌17年からコングレスに)。連邦政府の映画認証委員会(The Central Board of Firm Certification)の同判断に対して、コングレスやAAPから批判があったとのこと。  

 インド映画は同委員会の審査を経て公開される。インド映画の最初に出てくる白い紙はその認可書にあたるが、左上に書かれているアルファベットは、その映画の性質により以下のとおりカテゴライズされている。本映画も最終的にはUカテゴリーでの公開。これまでUかU/A表記しか見たことないような気がするなあ。Sカテゴリーの映画はどんなに過激なのだろうか…。

インド映画のカテゴリー分けについて

About Us - The Central Board of Film Certification

 話が逸れてしまったが、全体的に良い映画だった。最初はバラバラに動いていた各人のシーンが次第に交差していく様は不思議と不自然さがなく、最後は爽快な気持ちで見れた。

 映画を観終えた後にすかさずCDエクスプレスパンジャービー語amazonでポチったのですが、在庫なし発送不可の連絡が来ました。少しかじっておきたいと思いつつ、手を付けていない言語のひとつです。