映画『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』

 少し面倒だったZOOMにも慣れてきました。スピーキング中心での利用であれば何の苦労もないのですが、この間ZOOM初挑戦したウルドゥー語のマンツーマン授業はもはや視力検査でした。ゼーなのか、レーの上に印刷のシミがついているのかが判別不能ウルドゥー語の勉強不足と低下気味の視力を一度に思い知らされたという感じです。とはいえ、ウルドゥー語も、ヒンディー語でも使われている(というか自分が知っている)単語の範囲であれば割と問題なく読めるようになってきたので楽しい。

 さて、今日は少し前に見た映画『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』について書こうと思います。2016年公開の米英豪合作の映画で日本でもかなり宣伝されていましたが、ずっと見ていませんでした。予告編で「あ~感動系ね~ハイハイ」みたいに思ってしまって。ところが実際に観たら、不覚にも泣いてしまいました…。

https://www.netflix.com/jp/title/80108447

**あらすじ(完全ネタバレ)**

 マッデャプラデーシュの貧しい母子家庭の次男として暮らす少年サルーは、出稼ぎにいく兄についていこうとする途中にはぐれてしまう。夜中に空いている列車の中でひと眠りをし、目を覚ますと列車は東に向かっており、コルカタまでたどり着く。

 そこで路上生活をしたり児童施設に入れられたりするが、家がどこにあるかも分からないサルーは実親を見つけることができず、オーストラリアの裕福な家に養子として送られる。

 「オーストラリア人」として大人になったサルーは、幼少期のかすかな記憶を頼りにGoogle Earthでインドの実家を突き止め、実母との再会を果たす。

 主役サルー(成年)役は、インド系イギリス人のデーヴ・パテール。この映画を先に観ていた私の先生が「前半は『スラムドッグ・ミリオネア』のような既視感満載」とおっしゃっていたのだけど、見始めてすぐに同意(笑) 単に主役が同じというだけでなく、子どもが逃げ惑う感じとか列車のシーンが多いところも似ている。デーブ・パテールはひげを生やして髪を伸ばしても、あまりスラムドックの時の印象は変わらなかったと感じた。両親はケニアのインド系移民(グジャラーティー)で、デーブ・パテール自身もケニアで生まれイギリスに移住しているが、wiki情報によれば、英語以外に少しグジャラーティーも話せるらしい。

 途中までは割と冷めた目で見ていたけれど、サルーが自分のアイデンティティや育った環境に葛藤するシーンあたりから徐々に引き込まれていった。私は高校生の時にオーストラリアで一か月間だけホームステイをしたことがあって、現地の学校にいた移民2世の友人たちが、自分自身はオーストラリア人であると思っているのに、執拗にバックグラウンドについて聞かれて悩んだりしていたのを思い出した(ちなみにアジアの言語を学びたいと思ったのはそれがきっかけ。その中でヒンディー語を選んだのは勘というかタダのノリ。)。

 エンドロールには本映画の元となった青年が実際にオーストラリアの養父母とともにインドに行くシーンも出たりしていて、最後には完全に感情移入して涙ドバーでした。。。良かったねえ。。。まあ性格が歪んだ私はグーグルアースで原始的に図を書いたりしなくても、SNSで呼びかけるとかもっと効率的な方法がありそうなんて思ってしまったが。

 あとは、サルーのお母さんのセリフの中で、「自分で子どもを産むこともできたけれど、どこかの恵まれない子どもを育てることの方が有意義だと思った」という趣旨の発言があって、しばらく色々考えてしまった。人生色々ですな~