映画『カセットテープ・ダイアリーズ』

南アジア関連映画、日本に上陸し過ぎ!日本公開分をフォローするだけでも結構大変。

オープンしたてホヤホヤの東宝シネマズ池袋にて、『カセットテープ・ダイアリーズ』を観た。なんというか…池袋が池袋じゃなくなっている…!近代的なビルがどんどこ出来ている。前はしょぼい映画館しかなかったので映画好きとしてはありがたいけれど、なんだか複雑。新しいビル群から目を逸らすと場末のスナックやボロいテナントビルが目に入るので、ちょっと落ち着く。

ハレザ池袋。左側に池バスも走っている。

***あらすじ(東宝シネマズホームページより)***

1987年、イギリスの町ルートンで暮らすパキスタン移民の少年ジャベド。人種差別や経済問題に揺れる時代に、自分が暮らす町の人からの偏見や、パキスタン家庭の伝統やルールから抜け出したくてたまらない。ある日ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会い、彼の世界は180度変わり始める。

https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=018378

パキスタン移民のジャベドが80年代のイギリスで、差別や親の不理解と戦いながら思春期を過ごす様は、不思議と共感できた。日本で育ち、親も理解ある方だったと思うけれど、何故だろう。思うようにいかない時、音楽に助けを求めるという経験からだろうか。私の場合は同世代の洋楽だったが、歌詞を理解しながら聴くブルースも良いなあと初めて思った。

この映画を先に観ていた知人が「『Gullyboy』と共通点がある」と評していたが、私も『Gullyboy』の中で、ムラードが運転手として客を待っている間に『Apna time aayega』を作曲するシーンを思い出した。この映画も、苦境に置かれたマイノリティのサクセスストーリーという感じではあったが、心温まる映画だった。

パキスタン移民関連ということで見たけれど、舞台はイギリスなので当然英語。ウルドゥー語が出てきたのは、ジャベドの両親や知人が少し会話する程度だった。日本で子育てをしているインド人の知人も言っていたけれど、異国で子育てをしていて子どもが奔放に育ってしまって亀裂が生まれるというのはあるあるみたい。

原題は『Blinded by the light』。ジャベドが信奉するブルースの曲名らしい。邦題の『カセットテープ・ダイアリーズ』は、正直パッとしないなと思う。南アジア畑の人も、ブルース畑の人もキャッチをしない、曖昧なタイトル。両方の層に見てもらうべく、敢えてそうしたのかもしれない。私も、知人の口コミがなければ見ていなかったと思う。