映画『サーホー』

 蒸し暑くなってきた。まだまだ夏はこれからという感じ…。

 本来であれば7月上旬にインドに行き、現地で2週間隔離生活を送ったあと、今頃は娑婆で生活準備をしていたはずなのに、まだ東京でくすぶっているとは…。こればっかりは仕方ないのでとりあえずインド映画を観るしかない!

 昨日は新宿ピカデリーテルグ語映画『サーホー』を観た。

概要(映画.comより)

「バーフバリ」シリーズで主人公バーフバリを演じたプラバース主演による、架空の都市を舞台にしたクライムアクション。いくつもの犯罪組織が街を支配する大都市ワージー。ある日、組織の頂点に君臨するロイが交通事故と見せかけて殺害された。組織内では実力者の1人であるデウラージがロイの後継の座を狙うが、ロイの息子も父を引き継ぎボスとして名乗りを上げる。そんな中、200億ルピー相当の大規模な窃盗事件が発生。潜入捜査官アショークは女性警察官アムリタ―らとともに事件の捜査を開始する。窃盗団を追う中で、アショークは裏組織が隠し持つ金庫の存在にたどり着く。

https://eiga.com/movie/91875/

 一言で感想を言うと「よくもまあこんな大金使ってこんな取っ散らかった映画作ったなー」でした。私は『バーフバリ』も一瞬で爆睡した人間なので、単に好みの問題なのかもしれないけれど…。この映画は『バーフバリ』と主役が同じというだけで日本にやってきたんだろうなあ~~~。

 何が気に入らなかったか。(以下ネタバレ愚痴ブログ)

 まず、そもそもアクション全開で誰もリアリティなんて求めていないので、悪党vs警察という分かりやすい軸だった方が良かったんじゃないかなあと思う。悪党も警察も色んな思惑の人がいすぎて、夢中になって見ていないと分けわからなくなる(集中力が切れまくっていた私だけかもですが)。そしてとにかく無駄に長い。登場人物減らしてスリム化するか、思い切ってもっと歌踊りだらけにするか、このまま行くのであれば登場人物にもっと個性をつけるとか(イケてるおじさま系のヤクザが何人もいるから誰が誰だか混乱する)、工夫が必要。

 味方だと思っていた人が実は反対側だったというのは映画ではよくある話だけど、なんか腑に落ちなかった。警察の割と中枢みたいなところで堂々とオペレーションを仕切っていた人が敵側だったということに気付かないのはさすがにあり得ないというか、素直に「そうだったんだー!!」と受け取ることができず。先日のインド映画『WAR』みたいに整形とかして他の人が気づかなくてもおかしくないようにするなり、『Romeo Akbar Walter』みたいに最初から下心あり感を出しておいた方が、発覚したときにもっと伏線が繋がった感があるんじゃないかなあと思った。

 プラバース演じる主人公も警察なんだか悪党なんだか結局いい人なんだか忙しなく立場が変わって見えるし、ヒロインの女性警察官も最初は苦悩しつつも真面目に進む若手警察官みたいな感じだったのが、なんか途中からよくわからなくなるし。ストーリーもやたら捻ってあるし、インド映画にしては歌踊りの数はまあ平均的だし、色々と中途半端な映画だった。こんなに意味の分からないプロットであるならば、もはやアショークは有能警察官のままでいて、若手女性警察官を育成しつつ一緒に悪退治という単純ストーリーで良かったのではとすら思ってしまう。

 気に入った点として、踊りのシーンは、キャッチ―でEDMっぽい音楽ながら南インドの垢抜けない感?(失礼)もいい感じに残っていて楽しかった。ジャッキー・シュロフは相変わらずかっこよかった。。。

 ともかく、この映画によって、インド映画は歌と踊りだけ!ストーリーは無視!みたいなステレオタイプがどんどん広まらないだろうかと、部外者ながら勝手に心配になったのでした。