Raazi

スーパーの果物売り場の衣替えが進んでいて寂しい。今年の夏はコロナ禍にも関わらず、インドやパキスタンからきたマンゴーを楽しんだ。売り場からマンゴーがなくなっていくのが寂しくて、昨日はついに巷で話題の「おかえりマンゴー」を試してみた。ヨーグルトにドライマンゴー入れると、マンゴーは戻るしヨーグルトにも程よいマンゴー風味がついてとっても良い。。。!これをなるべく多くのインド人に教えるのが今の私の責務。

マルエツでも見るようになった!

今日は今更ながら『Raazi』をみた。

あらすじ(ネタバレ)

デリー大の女子大生、セヘマト(アーリア・バット)。ある日突然故郷のカシミールに呼ばれ、余命短い父親から、パキスタンに嫁入りをし、スパイ活動を行うよう告げられる。

RAWでの訓練を経てパキスタンの軍関係者が多くいる家に嫁入りしたセヘマトは、嫁ぎ先から情報収集をして信号でインドに情報を送る。最初からセヘマトを疑っていた使用人に信号機の存在がバレてしまい、セヘマトは証拠隠滅のために彼や彼の死因を追跡していた親戚の軍人を殺す。

これにより嫁ぎ先に捜索が入ることになり、愛していた旦那に正体が発覚する。旦那を殺そうとするがタイミングを失ったセヘマトが街で旦那と対面するところをみたRAWの諜報員が、手榴弾で2人を爆殺する。旦那は死亡するが、亡くなった女性はセヘマトが直前に入れ替わったカモフラージュ用の女性だった。セヘマトは生き残りインドに帰るが、自分や罪のない旦那を殺そうとした国を憎み失望する。

国のために戦う女性スパイの映画。「国に勝るものは何もない」的なセリフがじゃんじゃん出てくるので、戦争アレルギーの日本人には馴染まない映画だなと思いました。

他のインドスパイ映画と異なるのは、若い女性が主役という点と、スパイ活動に未熟さが見えるところだと思う。他のスパイ物でジョンアブラハムとかが演じるRAWの諜報員は、語学も判断力もアクションも完璧すぎるけど、この映画のセヘマトは付け焼き刃でパキスタンに送られたため、見ていてヒヤヒヤする。が、地道な難しい仕事なんだということを感じられて、これはこれで良い。

同じくRAWがパキスタンで活躍する映画『Romeo Akbar Walter』では、人を殺すシーンはありつつも、最終的にRAWの活動が国益に資するということが分かりやすく描かれている。この作品は、情報を知ってしまった罪のない人を殺すシーンが多すぎるかなと思った。国を守るためなら戦争を辞さないというのは日本以外では一般的に受け入れられる考えなのでコメントなしですが、スパイ活動は正当化されるべきものではないし、罪のない人を殺す場面に焦点が行き過ぎるのもどうかとは思う。が、その分(?)、インド側に寄っていない点は良かった。

最後にセヘマトが生き残って、罪のないパキスタン人の軍人を殺し、自分をも殺そうとしたRAWの上司を責めるシーンはメッセージ性が強くてよかった。よくあるインド万歳的な終わり方じゃなくて、戦時の恐怖や虚しさを伝えるようなエンディングだった。RAWの上司のセリフにあった、戦時になると戦争以外のことは気にされなくなるというのは、悲しいけれどもそれが現実だということを、戦争を知らない世代にに思い出させてくれる。